離設問題は、もはや介護施設の中だけで解決できる課題ではありません。
高齢者の安全を守り抜くためには、地域社会全体が一体となった連携が不可欠といえます。
施設タッフの目だけでは、24時間体制で真剣に業務に取り組んでいたとしても、一時も目を話すことなく高齢者を見守り続けることにはどうしても限界があります。そこで大きな力となるのが、地域住民の方々の見守りの目です。
近所のコンビニエンスストアやスーパーの従業員、郵便局員、タクシードライバーなど、地域で働く方々が季節外れの薄着で歩いている高齢者や道に迷って不安そうな方に気づき、優しく声をかけてくださることが早期発見に直結します。
近年では、多くの自治体でSOSネットワークの構築が進んでいます。これは、高齢者が行方不明になった際、あらかじめ登録された地域の協力機関やボランティアに対して、特徴や服装などの情報がメール等で一斉に配信される仕組みです。このようなシステムを施設側も積極的に活用し、地域との情報共有を密にしておくことが重要です。
認知症になっても、安心して住み慣れた地域で暮らし続けることができる社会。それを作っていくためには、私たち一人ひとりが離設問題に関心を持ち、正しい知識と優しい眼差しを持つことが求められます。施設と地域が手を取り合い、社会全体で高齢者の命と尊厳を守り抜く強固なネットワークを築いていくことこそが、これからの高齢化社会に必要な姿勢なのです。